
はじめに
企業の成長を牽引する原動力は、なんといっても経営者の強いリーダーシップと決断力です。特に「ワンマン社長」と呼ばれるような、圧倒的なスピード感とバイタリティを持つ経営者は、市場の隙間を素早く見つけ、一気にアクセルを踏み込むことで会社を急成長させていきます。
しかし、その一方で、「弁護士を雇うと、あれもダメ、これもダメとブレーキばかり踏まれて事業のスピードが落ちてしまうのではないか」という懸念を抱く経営者の方も少なくありません。
弁護士は本当に、経営の邪魔をする「ブレーキ」にすぎないのでしょうか。
本コラムでは、ワンマン社長の強力な「アクセル」という強みを最大限に活かしつつ、企業を致命的なリスクから守るための顧問弁護士のあり方と、その選び方について、弁護士法人エースパートナー法律事務所の弁護士・阿野順一が分かりやすく解説します。
顧問弁護士は「ブレーキ」なのか、それとも「アクセル」なのか
一般的に、弁護士のイメージは「トラブルが起きてから解決する人」や「契約書の不備を指摘して取引を止める人」といった、後ろ向きなものになりがちです。経営者が「この新規事業で一気に攻めたい!」と考えているときに、法律の条文を突きつけて「それは違法のリスクがあります」と一蹴する弁護士は、経営者にとって単なるブレーキでしかありません。
しかし、真に経営者に寄り添う顧問弁護士の役割は異なります。
経営における「ブレーキ」とは、単に車を止めるためのものではなく、「より安全に、より高速でカーブを曲がりきるためのコントロール装置」です。もしブレーキのない車であれば、恐ろしくてアクセルを限界まで踏み込むことはできません。万が一のときに適切に作動する高性能なブレーキ(=リスク管理)があるからこそ、経営者は安心してアクセルを踏み込み、攻めの経営に集中できるのです。
さらに、優秀な顧問弁護士は「ブレーキ」だけでなく「アクセル」の役割も果たします。
例えば、経営者がやりたい事業に対して法的なハードルがある場合、「できません」と拒絶するのではなく、「どうすれば法的なクリアを保ちつつ、社長のやりたいビジネスモデルを実現できるか」を一緒に考え、代替案を提案します。これこそが、売上や利益を拡大するための「攻めのリーガルサービス(アクセル)」です。
ワンマン経営者の「感情」と「決断」に寄り添うことの大切さ
多くのワンマン経営者は、孤独の中で決断を下しています。「誰も自分のスピード感についてきてくれない」「社員には相談できない重大な悩みがある」と感じている方も多いでしょう。
経営において、論理や法律論はもちろん重要ですが、それと同じくらい「経営者の感情や直感」も大切です。社長が「どうしてもこの事業を形にしたい」「この取引先を信頼して勝負をかけたい」と思う熱意こそが、企業を前進させるからです。
そのため、顧問弁護士には、単なる法律の知識だけでなく「社長の想いを理解し、共感する姿勢」が求められます。
社長のパッションを否定せず、まずは「そのビジネス、面白いですね!ぜひ実現しましょう」と受け止める。その上で、プロフェッショナルとして「ただし、この部分に落とし穴があるので、こうやって埋めておきましょう」と、会社を守るための盾を差し出す。このような関係性こそが、ワンマン社長と顧問弁護士の理想的なパートナーシップです。
具体例で見る:攻めと守りを両立させる顧問弁護士のサポート
では、実際にどのような場面で顧問弁護士が「アクセルとブレーキ」を使い分けるのか、いくつかの具体例を見てみましょう。
事例1:新規事業(IT・AI分野など)の立ち上げ
近年、ITやAIを活用した新しいサービスが次々と生まれています。法律の整備が追いついていないグレーゾーンの領域も少なくありません。
ここで「法律が未整備だからやめておきましょう」とするのは簡単なブレーキです。しかし、攻めの顧問弁護士は、現行法の解釈やガイドライン、他業界の先例などを徹底的に分析し、「この利用規約を作成し、ユーザーへの見せ方を工夫すれば、違法と判断されるリスクを最小限に抑えてスタートできる」という道筋を提示します。
事例2:建築・不動産や飲食、保育園・介護等の現場トラブル
これらの業界では、顧客や利用者とのトラブル、労務問題が突発的に発生しがちです。ワンマン社長が感情的に相手と交渉してしまうと、火に油を注ぐ結果になりかねません。
顧問弁護士が裏方として、あるいは代理人として交渉を整理することで、社長は現場のトラブル対応に時間を取られることなく、本業の営業活動や店舗展開(アクセル)に専念することができます。
事例3:取引先との契約交渉
大口の取引先から、こちらに圧倒的に不利な契約書を提示されたとき、社長の「早く契約を締結して売上を立てたい」という焦り(アクセル)に対し、弁護士は「この免責条項は万が一のときに会社を倒産させるリスクがある」と指摘します(ブレーキ)。その上で、「この表現に変更するよう交渉しましょう」と、取引を壊さずにリスクを下げる修正案を提案します。
よくある質問(FAQ)
Q.顧問弁護士を導入すると、意思決定のスピードが遅くなりませんか?
A.むしろ逆です。普段から自社のビジネスモデルや社長の考え方を理解している顧問弁護士であれば、チャットツール等を用いて「この案件、どう思う?」という社長の問いかけに、即座に回答することができます。リスク判断のスピードが上がるため、結果として経営の意思決定は格段に早くなります。
Q.まだ売上規模が小さいスタートアップや中小企業でも、顧問弁護士は必要ですか?
A.必要性は十分にあります。大手企業に比べて資金力に限りがある中小企業こそ、1回の法的トラブル(売掛金の未回収、労働問題、特許侵害など)が致命傷になりかねません。初期段階からリスクを抑える仕組みを作っておくことが、将来の大きな飛躍へとつながります。
Q.どのような基準で顧問弁護士を選べばよいでしょうか?
A.「話しやすさ」と「こちらのビジネスへの理解度」を重視することをお勧めします。どれほど高名な弁護士であっても、社長が気軽に相談できない雰囲気であったり、業界の専門用語が通じなかったりしては、迅速なアクセル役にはなれません。
ワンマン社長を支える顧問弁護士の選び方
最後に、ワンマン経営者の強みを活かし、会社を飛躍させるための顧問弁護士の選び方のポイントを整理します。
1.「ダメ」の代わりに「こうすればできる」を提案してくれるか
法律上のリスクを指摘するだけでなく、社長の目的を達成するための代替案(オルタナティブ)を常に一緒に考えてくれる弁護士を選びましょう。
2.スピード感があり、チャットや電話で気軽に相談できるか
意思決定の速いワンマン社長にとって、メールの返信に数日かかる弁護士はストレスでしかありません。現代のビジネススピードに合わせたコミュニケーションが取れるかが重要です。
3.自社の業界や幅広い分野に強みを持っているか
建築・不動産、飲食、保育・介護、IT・AIなど、企業活動は多岐にわたります。また、万が一の事態に備えて、法人破産や個人の債務整理といった「究極の出口戦略」までを熟知している弁護士であれば、より深い安心感を持って経営に臨むことができます。
おわりに
ワンマン社長の「アクセルを踏み込む力」は、会社の成長に不可欠な最大の武器です。その武器を錆びつかせることなく、さらに研ぎ澄ますためにこそ、信頼できる顧問弁護士という「高性能なブレーキであり、ナビゲーター」を隣に乗せていただきたいと思います。
弁護士法人エースパートナー法律事務所(神奈川県・東京都)では、代表弁護士の阿野順一をはじめ、所属弁護士が川崎・横浜・東京を中心とした経営者の皆様の熱い想いに共感し、攻めの経営を支えるパートナーとして日々伴走しております。
「自社の事業をもっと加速させたい」「安心してアクセルを踏める環境を作りたい」とお考えの経営者の方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案については弁護士にご相談ください。
弁護士法人エースパートナー法律事務所は、川崎・横浜の法律事務所として、神奈川県・東京都の企業様の法律顧問(顧問弁護士)を務めています。不動産・建設、飲食、IT・AI、保育・介護など業種ごとの法務に精通した弁護士が、契約書チェックからトラブル対応まで幅広くサポートします。川崎・横浜・東京で顧問弁護士・法律事務所をお探しの経営者様は、どうぞお気軽にご相談ください。
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