相続人調査を弁護士に依頼するメリットを紹介!
相続手続に取り掛かるにあたってまずしないといけないのは「相続人の調査」です。調査は遺族の方自身で行うことも可能ですが、弁護士に依頼することで次のようなメリットが得られますし、できれば弁護士にお任せすることをおすすめします。
- 1. 戸籍集めを代行してもらえる
- 2. 法定相続人の判定をしてもらえる
- 3. 相続関係説明図を作ってもらえる
- 4. 法定相続情報一覧図を作ってもらえる
- 5. 相続放棄や限定承認の手続支援
- 6. 遺産分割協議までサポートしてもらえる
この各メリットの詳細については以下で説明します。
メリット①戸籍集めを代行してもらえる
相続人調査の基本は戸籍集めであり、この作業を弁護士が代行してくれます。
一般的に必要とされる戸籍関係の書類は次の通りです。
必要になる戸籍関係の書類 | |
---|---|
亡くなった方については、以下の出生から死亡までの連続した戸籍を集める | 戸籍謄本:1通450円 |
除籍謄本:1通750円 | |
改製原戸籍謄本:1通750円 | |
相続人全員の現在の戸籍謄本 | ※亡くなった方と同じ戸籍の中にいるときは別途取得する必要はない |
亡くなった方と相続人全員の記載がある「相続関係説明図」または「法定相続情報一覧図」 | 自分で作成、または弁護士などの専門家に作成してもらう |
なお、戸籍関係の書類は、亡くなった日から10日を過ぎた日以後に作成されたものを用意する必要があります。原本の取得は本人・直系血族・配偶者なら取得可能ですが、委任状があれば弁護士などの代理人による取得も認められます。
集める戸籍の種類
戸籍は一生の間に複数作られることが多く、例えば結婚・離婚や法改正の影響を受けて新たに戸籍が作られます。新しく作られた戸籍にすべての戸籍情報が記載されていればいいのですが、一生分の記載はされていないため、「亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍」の取得をしていかないといけないのです。
戸籍は、一組の夫婦とその子どもを一つの単位として構成しています。そして、ある戸籍の中に生きている方のいる戸籍の写しは「戸籍謄本」と呼ばれ、もし被相続人が亡くなってもまだ配偶者や子どもがいるのなら、まずは被相続人の戸籍謄本を取得することになるでしょう。
一方、誰もいなくなった戸籍の写しは「除籍謄本」と呼ばれ、子どもや配偶者がいない(あるいはすでに亡くなっている)場合に被相続人が亡くなると、この除籍謄本を取得することとなります。
さらに、戸籍に関わる改正法が施行されて古い形式で閉鎖された戸籍の写しについては「改製原戸籍謄本」と呼ばれます。一生分を集める過程でこの戸籍を集めることもあるかもしれません。
これらすべてを網羅的に取得していくのは大変な作業ですが、プロに任せておけば安心です。
法改正でどこからでも取得が可能に
これまでは本籍のある市区町村役場にて手続を行う必要があったのですが、現在は法改正により、どの市区町村役場からでも取得できるようになっています。これによって戸籍集めにかかる手間は大きく軽減されています。
メリット②法定相続人の判定をしてもらえる
戸籍には、氏名・生年月日などの情報のほか、本籍地や戸籍に入った理由、実父母や養親のことなど、さまざまな情報を記されています。一生分の戸籍情報に目を通して、子や親、兄弟姉妹のことなどを調べていく必要があり、さらに民法と照らし合わせて「誰が法定相続人になるのか」を判定していかないといけません。
当然ですが、戸籍を集めるだけでは不十分で、①戸籍から情報を読み取ること、②法定相続人の判断ができること、の2点をクリアしないといけないのです。専門知識のない方が対応するのはハードルが高いですが、この作業も弁護士に任せることができます。
法定相続人の範囲
戸籍から法定相続人の判定をするには、前提として民法上定められている相続の基本ルールを理解しておかないといけません。
簡単に「誰が相続人になるのか」を確認しておきましょう。
もっとも基本となるルールはこちらの3点です。
- 1. 夫や妻は常に相続人になる
- ※入籍さえしていればよく、婚姻期間の長さなども関係ない。
※事実婚の場合は相続できない。 - 2. その他の人物には順位が付けられている
- 3. 先順位の人物がいる場合、後順位の人物は相続人にならない
配偶者以外の順位は次の通りです。
相続人の順位 | ||
---|---|---|
第1順位 | 子 | ・年齢は関係ない ・養子と実子の区別はない ・胎児も該当する ・婚外子も該当する ・被相続人より先に子が亡くなっているとき、孫が代わりに該当する(代襲相続) ※再代襲相続でひ孫が相続することもある |
第2順位 | 直系尊属 | ・父母、祖父母などのこと ・まずは父母が相続人となり、いずれもすでに亡くなっているときは祖父母が相続人となる ・父と母に優劣はない ・養親と実親に優劣はない |
第3順位 | 兄弟姉妹 | ・年齢は関係ない ・片親のみが共通する半血の兄弟姉妹は、全血の兄弟姉妹より法定相続分が少なくなる ・被相続人より先に兄弟姉妹が亡くなっているとき、甥・姪が代わりに該当する(代襲相続) ※再代襲相続は起こらない |
メリット③相続関係説明図を作ってもらえる
「相続関係説明図」を作っておくと、各種相続手続を進める際に役立ちます。これは、被相続人と相続人の関係性を一覧にした図面のことで、被相続人周りの関係性をわかりやすく整理するのに役立ちます。
この作成に関しても弁護士に任せることができます。
相続人調査をしっかりと行い、全体の把握ができれば、いったんこの相続関係説明図を作ってもらうと良いでしょう。不動産の相続登記を行う際などにも役立ちます。
メリット④法定相続情報一覧図を作ってもらえる
手続先の多い場合などでは「法定相続情報一覧図」を作っておくと良いです。一つの書類で相続人であることの証明ができるようになり、戸籍謄本等一式を持っているのと同等の効力を発揮できます。
例えば相続手続の一環で名義変更を行う場面において、「戸籍謄本等を提出してください」などと相続人であることの証明を求められることもあります。そんなときでも法定相続情報一覧図があれば、これ一つで円滑に手続を進められるようになります。
ただし作成するには所定の様式に従う必要がありますし、法務局に発行を求めるなど、手続が厳格です。ご自身で対応しようとすると困ることも出てくるかもしれませんが、この作成に関しても弁護士に任せられます。
法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違い
「法定相続情報一覧図」と「相続関係説明図」は似た目的で作成する書類ですが、法定相続情報一覧図の方が厳格な手続により作成されますので、公的な手続において相続人であることの証明を行うにはこちらの方が適しています。この書類を準備しておけば、戸籍謄本等を一緒に提出するなどの手間は必要なくなります。
ただ、相続関係説明図の方が作成は簡単ですし、あらゆる手続で戸籍謄本等の提出を求められるわけではありません。相続関係説明図で足りる場合は無理に法定相続情報一覧図を作らなくてもかまいません。
メリット⑤相続放棄や限定承認の手続支援
相続人は、原則としてプラスの財産とマイナスの財産をすべて引き継ぎます。この原則的な相続の方法を「単純承認」と呼びます。
相続にはこの単純承認以外の方法もあり、マイナスの財産を引き継ぐことが強制されるわけではありません。もし、どの財産も一切引き継ぎたくないというときは、家庭裁判所に申し出ることでその権限を捨てられます。これを「相続放棄」と呼び、特に借金などが大きいときなどに申し出を検討することになります。
また、複雑な手続が必要ですが、借金等の返済義務をプラスの財産の範囲に絞ることも可能です。これは「限定承認」と呼び、財産関係が複雑で相続によるリスクの判定が難しいケース、どうしても取得したい財産があるケース、などで家庭裁判所への申し出を検討することになります。
ご自身で家庭裁判所に行き、手続を行うことも不可能ではありませんが,専門家である弁護士に申立を依頼することで,早期に不備なく必要な手続きを進めることができるでしょう
相続放棄で注意すること
上述の通り、相続放棄をするには家庭裁判所での手続が必要です。これは絶対に欠かせない要件であり、たとえ相続人の全員に対して「私は相続をしない」「財産を一切もらわない」と主張したとしても相続放棄をしたことにはなりません。
それでも口頭での相続分放棄の意思を伝えれば、遺産分割協議にて相続分の調整をしてもらえるかもしれません。ただ、法律上は、借金などの債務を法定相続分で負担してしまいますので、完全にリスクを取り除くことはできないのです。
そのため、特にリスクを考慮して相続放棄をしたいのなら、早めに家庭裁判所で手続を行うようにしてください。手続ができる時期も「相続開始を知った日から3ヶ月間」と法定されており、この期間を過ぎてしまうと取り返しはつきません。
限定承認で注意すること
限定承認も相続放棄と同様で、3ヶ月以内に、家庭裁判所で、手続を行わないといけません。
限定承認の場合はさらに「相続人全員による申し出」が求められていますので、要注意です。相続人の一部で話し合っただけだと限定承認の手続を進めることはできません。
※相続放棄をした方に関しては除くことができるため、限定承認の手続に参加したくない方がいるときは先に相続放棄をしてもらい、残りの相続人らで限定承認を行うといい。
メリット⑤遺産分割協議までサポートしてもらえる
相続人の調査を行うのは、遺産分割などの手続を適切に進めるためです。そこで弁護士に相続人調査の依頼をしているときは、遺産分割協議のサポートまでお願いすると良いでしょう。弁護士なら遺産分割のやり方や、そこで揉めてしまった場合の対処法についてもアドバイスをすることができます。
法定相続分の計算、遺産分割協議書の作成、さらには遺留分に関する手続も弁護士にサポートしてもらえます。
なお、遺留分とは一定の相続人に認められている最低限の遺産を受け取る権利のことです。遺言書が作成されていることでこの遺留分が侵害されることもあり、このときは遺留分権利者が受遺者(遺言書の記載に従い遺産を受け取る人物)に対して遺留分侵害額請求を行うことができます。
※この請求は金銭の支払いを求めるだけで、遺言書を無効にするものではない。そのため遺産そのものの返還を求めることはできない。
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