専業主婦(主夫)でも債務整理は可能?手続の流れと必要書類を徹底解説

専業主婦(主夫)でも債務整理は可能?手続の流れと必要書類を徹底解説

借金の返済に悩む専業主婦(主夫)の方々にとって、「収入がないのに債務整理はできるのだろうか」という不安は大きいものです。しかし、専業主婦(主夫)であっても債務整理は不可能ではありません。適切な方法で債務整理を行えば、家計の立て直しもできることでしょう。
そこで当記事では、専業主婦(主夫)の方が債務整理を検討する際に知っておきたいポイントや選択肢となる方法、そして具体的な手続の流れについて解説していきます。ぜひ参考にしてください。

専業主婦(主夫)でも債務整理はできる

専業主婦(主夫)の方が債務整理を考える際、もっとも気になるのは「収入がなくても可能なのか」という点でしょう。結論からいえば、専業主婦(主夫)でも債務整理は可能です。ただし、いくつか押さえておきたい特徴や注意点があります。

専業主婦(主夫)の債務整理における主な特徴は以下の通りです。

1. 配偶者の収入が考慮される
2. 世帯全体の収支バランスが重要
3. 配偶者の同意が必要な場合がある
4. 家計の見直しが不可欠

特に配偶者の収入との関係は重要です。専業主婦(主夫)自身に収入がなくても、配偶者に安定した収入があれば、その範囲内で債務整理の交渉を行うことが可能となります。

一方、専業主婦(主夫)特有のよくある不安・懸念事項として以下の事柄を挙げられます。

  • 「妻・夫に負担がかからないの?」
  • 「子どもの教育費に影響が出てしまうことはない?」
  • 「将来的な就職や借入に支障が出ないの?」

実際のところ、一切のリスクがないわけではありません。しかしながら、適切な方法で債務整理を行えばむしろ家計の改善につながり、長期的には家族全体にとってプラスになる可能性が高いといえます。

専業主婦(主夫)でも認められる理由

債務整理の基本的な考え方は、経済的に行き詰まった個人や法人に再出発の機会を与えることにあります。この考え方は、収入の有無にかかわらず適用されるものであり、専業主婦(主夫)だから除外する、ということにはなりません。

とはいえ、再出発の機会が奪われていないだけでありその機会が保障されているわけでもありません。つまり「専業主婦(主夫)でも手続を進めれば債務整理が必ずできる」と考えてはいけません。
あくまでその権利を剥奪されていないというだけであり、実際に債務整理ができるかどうかは個別の状況を見ながら判断されることになります。この点については専業主婦(主夫)かどうかを問わず同じです。

配偶者の収入と債務整理の関係

専業主婦(主夫)の債務整理において、配偶者の収入の安定性や大きさは重要な要素となります。

返済計画を立てるときに着目する収入や返済可能額についての考え方は、以下のような点に基づきます。

世帯収入 配偶者の収入を含めた家計全体の収入のこと。
生活費 世帯人数に応じた、生活のうえで必要最低限発生する費用のこと。
返済可能額 世帯収入から生活費を差し引いた金額の一部。

配偶者の同意の必要性に関しては、債務整理の方法によって異なります。
任意整理の場合は必ずしも配偶者の同意は必要ありませんが、個人再生や自己破産の場合は、裁判所に提出する資料に配偶者の収入や資産に関する情報が含まれるため、事実上配偶者の協力が必要といえるでしょう。
※個人再生や自己破産でも法律上配偶者の同意が求められているわけではない。また、任意整理においても配偶者の協力が大事な要素となるため一定の場合には同意が必要となり得る。

専業主婦(主夫)が選べる債務整理の種類

専業主婦(主夫)でも選択できる債務整理の方法として、次の4つを挙げることができます。

① 任意整理
② 特定調停
③ 個人再生
④ 自己破産

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、個々の状況に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。それぞれの特徴や向いているケースを詳しく見ていきましょう。

任意整理のメリットとデメリット

任意整理は、「裁判所を介さず、債権者と直接交渉して返済方法を決める」という特徴を持つ債務整理の1種です。主に「利息のカットや返済期間の延長」などの効果が期待でき、そのために無理のない返済計画を立てることとなります。

  • 任意整理のメリット
    • 手続が比較的簡単で、必要書類も少ない。
    • (弁護士に依頼していれば)債権者から直接連絡が来ないため、周囲に知られにくい。
  • 任意整理のデメリット
    • 返済額が大きく圧縮されるわけではない。
    • 返済能力が必要なため、専業主婦(主夫)の場合は配偶者に頼ることになる。

任意整理が特に向いているのは、借金額が比較的少なく、家計の見直しで返済原資を捻出できる場合などでしょう。なお、任意整理について弁護士に依頼を出したときの費用は「債権者1件あたり数万円」が相場です。

特定調停のメリットとデメリット

特定調停は「裁判所の仲介で債権者と話し合い、返済計画を立て直す」という特徴を持つ債務整理の1種です。

  • 特定調停のメリット
    • 裁判所が仲介するため、債権者との交渉がスムーズになる可能性がある。
    • 公的な手続であり安心感がある。
  • 特定調停のデメリット
    • 債権者の同意が必要。
    • 専業主婦(主夫)の場合、返済能力の証明が必要。

特定調停が向いているのは、私的な交渉だとなかなか解決ができなかったり相手にしてくれなかったりする場面です。弁護士をつけず個人的に交渉を申し入れても取り合ってくれないケースがありますが、裁判所が関与することで相手方の対応も変わる可能性があります。
また、比較的低額で手続ができるのも特定調停の大きな特徴です。

個人再生のメリットとデメリット

個人再生は「裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額して残額を返済していく」という特徴を持つ債務整理の1種です。安定した収入から返済を続けられる能力が必要となります。

  • 個人再生のメリット
    • 借金を大幅に減額できる可能性がある。
    • 財産(ローンが残っている自宅など)を手放さずに済む場合がある。
  • 個人再生のデメリット
    • 専業主婦(主夫)の場合は利用が難しい。
    • 手続が複雑で、裁判所への申立てが必要。

専業主婦(主夫)で個人再生の利用条件を満たすのは容易ではありません。安定した収入をもらっている兼業主婦(主夫)、あるいは不労所得などで収入を得られている場合であれば利用ができるかもしれません。
もし、個人再生ができるとなればその効果は大きいです。任意整理や特定調停よりも大幅な債務圧縮ができる傾向にあり、その後の返済の負担は大きく下げられるでしょう。また、住宅ローンに関しては債務整理から除ける特例もありますので、自宅が残せる可能性もあります。

自己破産のメリットとデメリット

自己破産は「裁判所に申し立てを行い、債務者の財産の清算と借金全額の免除を目指す」という特徴を持つ債務整理の1種です。債権者数や債務総額が大きいほど申立てにかかる費用も大きくなってきますし、手続に要する期間も長くなってきます。とはいえ会社のする破産ではありませんし、半年程度の期間、30万円~50万円程度の費用で足りることが多いです。

  • 自己破産のメリット
    • 借金が全額免除される可能性が高い。
    • 返済能力が求められないため、専業主婦(主夫)でも利用可能。
  • 自己破産のデメリット
    • 一定の財産は処分される。
    • 信用情報に記録が残り、新規の借入れが困難になる。

返済能力が求められないという点では専業主婦(主夫)にも適した手続といえます。ただし各種債務整理の中でも、債権者・債務者双方に与える影響が大きく、最終手段として考えておくべきです。自宅や車、その他多くの財産が売却されてしまい、その分を債権者に渡されてしまいます。

そこで専業主婦(主夫)の方が債務整理を検討する際は、これら各種についてメリットとデメリットを十分に理解し、ご自身の状況に最適と思われる方法を選択することが重要です。弁護士にも相談し、適切なアドバイスを受けて検討することをおすすめします。

債務整理の手続の流れ

債務整理を行う際の一般的な流れは以下の通りです。専業主婦(主夫)の方も、基本的にはこの流れに沿って進めていくことになります。

1. 弁護士への初回相談
2. 必要書類の準備
3. 債務整理方法の決定
4. 手続の開始
5. 債権者との交渉または裁判所への申立て
6. 返済計画の実行または免責決定
7. 完了

事前に準備すべき書類

債務整理を円滑に進めるためには、以下の書類を事前に準備しておくことが大事です。

  • 本人確認書類
    • 運転免許証やパスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど
  • 債務関係の書類
    • 借入時に取り交わした契約書
    • 債権者からの通知や督促状
    • 過去の返済履歴がわかる資料・データ
  • 収入・支出の証明書類
    • 配偶者の源泉徴収票
    • 配偶者の給与明細書
    • 世帯の預金通帳
    • 家賃や住宅ローン等の支払い履歴

債務整理の方法や個々の状況によって必要なものが変わる場合があります。相談時に弁護士に確認しておきましょう。

相談から完了までの期間

手続に要する期間は、選択する方法によって大きく異なります。一般的な目安はこちらです。

手続の種類 おおよその期間
任意整理 3~6ヶ月
特定調停 3~6ヶ月
個人再生 6ヶ月~1年
自己破産 6ヶ月~

これらの期間に関しても、債権者の数や債務の複雑さ、裁判所の混雑状況などによって変動することがあります。

また、この期間中やその後しばらくの間は次のような影響が出るでしょう。

  • クレジットカードの利用停止
  • 新規の借入れが困難になる
  • 債権者からの取り立てが一時的に止まる
  • 家計の見直しが必要になる

特に専業主婦(主夫)の場合、配偶者の協力が不可欠になるため、事前に十分な話し合いを行うことが重要です。
ただ、一時的に生活に影響を与える可能性はあるものの、長期的には家計の改善にもつながるはずです。専業主婦(主夫)の方も、配偶者の理解と協力を得ながら前向きに取り組みましょう。また、専門家のサポートを受けることでより着実に進められるようになり、円滑に新たな生活へのスタートを切ることができるでしょう。

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